吉田進のパワーリフティングのこつ 第6回 - MEGA POWER -




第6回「スクワットこだわり講座2 スクワットのフォームについて」

長いお休みでしたが、この講座再開します。長い目で見てやってください。
さて、スクワット。私が「パワーリフティング入門」で解説しているパワースクワット、これは一つの理想です。その理想に近づける努力が大切だと書きました。でも現実には、そう簡単には理想のフォームは獲得できないようです。その辺りについて、今回は書きます。

1. なりがちなフォーム

ほとんどの日本人は、脚でいえば前側の大腿四頭筋が比較的強いです。
初心者が何も知らないでスクワットをやると、膝を前に出し、体を前傾させないフォームになります。大腿四頭筋が強いからです。尻の筋肉が弱いからです。そういうフォームを私は「なりがちなフォーム」と呼んでいます。
このフォームから入っていき、徐々に重量を増やしていくと、体の後ろ側の筋肉の働き比率が低いまま、大腿四頭筋ばかりが強くなっていきます。

2 理想的なパワーフォーム

私の考える理想的なフォームは、次の考え方から導かれてきました。
理想的なパワーフォーム 1. バーベルの移動距離を短くする。
 2. パワーギヤの効きを最大限に引き出す。
 3. 日本人の弱いとされる体の後ろ側を普段から鍛える。

このような条件を満たすフォームを文章で表現すると、
 A: ややワイドスタンス
 B: 下ろしていくに従って、膝を開いていく。
 C: 下していく時、膝は極力前に出さない。
 D: 背中はあまり前傾させない。

このフォームの感覚は、膝を前に出してスクワットしている人の感覚とはかなり違います。
何が違うかというと、バーベルの移動距離感覚。そして体の後ろ側の筋肉の働き感覚。大腿二頭筋と大臀筋の使い方が全く違います。
新しいフォームを覚えるには、極端に軽い重量で少しづつ体に覚えさせていかなければなりません。感覚的には「尻で立つ」ぐらい極端に感じるかもしれません。人によっては、かなりやりにくく感じると思います。でも2~3か月ほどの間、地道に軽い重量でトレーニングしていくと、少しずつこの理想形に近づいてきます。
完璧に近付くことが大切なのではありません。変な言い方ですが、その人の体形、体質に合ったところで妥協しても大丈夫です。つまり多少、膝が前に出ても構いません。

3. パワースーツ

では、なぜ体の後ろ側の筋肉にこだわるのか?
それは、スーツが効くのは体の後ろ側であり、スーツを効かす為には普段から後ろを使うフォームを身につけておく方が有利だからです。世界のトップスクワッターたちもこのフォームが多いです(もちろん例外はあります。)
「なりがちなフォーム」のスクワットを続けていくと、ニーラップがよく効くフォームになります。でもパワースーツの効きには改善の余地を残すことになります。
パワースーツは最近、ますます固くなっています。ですから、私の言う理想フォームにしても、以前ほど尻を後ろに突き出すことが困難になってきています。しかし、やはり体の後ろを使うフォームを獲得しておく方が、きついパワースーツを100%効かすことが可能なのです。そういうフォームの人はスーツの性能を引き出すあまり、厚く丈夫になった最近のスーツでも、時々破ってしまうぐらいです。
やりやすいからといって「なりがちなフォーム」のままでトレーニングしていくのと、始めは難しく感じられても「理想フォーム」に近付く努力を最初の2~3ヶ月行うのとでは、将来の伸びが大きく変わってくると思います。

4. 追記

ところで、膝の出る具合は人によって様々。人より脚の長い人だったらなおさらです。
どのぐらい膝が前に出るのが自分に合っているのか、その見極めが難しいところです。やはり経験豊かなコーチが必要です。
ということで、訳が分からなくなったら、ぜひパワーハウスの門をたたいてください(本当は訳が分からなくなる前に…。)

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