第11回「デッドリフトこだわり講座2 目指せ台湾デッド」
台湾デッドは日本人も可能か?
はっきり言うと身長170センチ以下の人には容易に可能だと思います。
あまり身長の高い人は脚も長いです。長い脚をワイドスタンスにしても、腰がバーベルに極端に近付くことはありません。大きなポイントである、前傾角度を極端に少なくすることが難しいのです。だから身長のある選手は台湾デッドは難しいのです。でもそれに近いフォームはもちろん可能です。
そして、腕の短い選手も難しいです。かなりしゃがまないとバーに腕が届きません。腰高というのが一つのポイントですから、それが達成できません。
ということは身長の高いヘビー級の選手以外は台湾デッドが可能だということです。たとえば67.5㎏級の日本のトップK選手は日本人の中で最も台湾デッドに近い選手だと思います。
台湾デッドが向かない人はどうすればいいの?
20年前、世界選手権でワイドデッドをやっているのは日本人と一部のフィンランド選手ぐらいでした。日本の選手がやるので、スモーデッドリフトと言われていたぐらいです。
フィンランドの選手たちは昔からワイドデッドの有利なことを見抜いていて、腕が長い選手たちがワイドデッドで世界記録をどんどん出していました。クラスで言うと82.5㎏級ぐらいまでが台湾デッドに近いフォームをやっていました。
ところが今では世界選手権の7~8割の選手がワイドデッドです。スーパーヘビー級の選手ですらワイドデッドをやっています。
ワイドデッドが有利な点をもう一度整理しましょう。
足を開くと引く距離が短くなる。
足を開くと腰をバーに近づけることができる。つまり背中の前傾を減らすことができる。
ナローより前傾角度を少なくしつつも腰高でスタートできる。(足の負担を減らすことができる)
ということで、やっぱりワイドスタンスのほうが有利なのです。
ここでワイドスタンスを覚えるためのポイントを解説しますので、ナローデッドで力の入れ方を身に付けた後で、徐々に軽い重量からワイドデッドのトレーニング量を増やしていって、体に覚えさせてください。足と尻の力の入れ方はナローとワイドで違います。その違いも感じてください。
ワイドデッド
1. つま先があまりプレートに近づかない距離まで足を開く(5センチぐらいが限界か)。
2. 立ち位置は、すねがバーに触れるところ。
3. しゃがんでいきますが、この時にひざが前に出ないようにします。つまりバーに触っているすねでシャフトを前に押さないようにします。
4. 腰を低くしない中腰の姿勢で、リラックスさせた両腕でバーベルを握ります。
5. 握り幅はナローよりは狭い握りになります。しかしバーのローレット加工の部分を握ってください。つるつるの部分を握ると、バーを落としやすくなります。
6. 足で地球を蹴りながら立ちあがっていきます。ナローとの違いは脚を両サイド方向に押すイメージが強いところです。バーは後からついて来るようなイメージ。最初に腕でバーを持ち上げるイメージはだめです。
7. ナローと同じく、バーが膝を過ぎたら背中で起こす感じです。
8. フィニッシュも同じ。肩を後ろに引いて胸を張ります。ナローよりはバランスが多少難しくなるので、普段の練習できっちりとしたフィニッシュ姿勢を覚えてください。ちなみにつま先が開きすぎているとバランスが壊れやすくなります。左右に45度を超えないようにするのがお勧めです。
9. 膝にバーがぶつかって痛い思いをします。徐々に痛くない、でもバーが体の近くを通るフォームを身につけてください。繰り返しの中から学んでいってください。
10. 顔の向きは正面です。
ではトレーニングに励んでください。
軽い重量でたくさんのレプスを繰り返すことにより、フォームは微妙に改善されていくものです。頑張ってください。